1 注文者が受ける利益の割合に応じた報酬(民法634条)

民法の改正により、請負った仕事が未完成な場合でも注文者が受ける利益の割合に応じて報酬請求を行うことができるという条文が追加されました。
この考え方は、民法改正前でも判例上認められていた法理ですが、今回の改正で明文化されました。
新設された民法634条は、①注文者の責任ではない理由で仕事を完成できなくなった場合②請負が仕事の完成前に解除された場合に注文者が受ける利益の割合に応じて報酬請求ができるとなっています。
そして、紛争予防の点からは、条文に定められている「可分な給付によって注文者が利益を受けるとき」という部分を明確に契約条項にしておくことがポイントなります。
たとえば、建築の請負やソフトウェアの開発の請負契約の場合、期間も長期間になりますし、契約完成までの過程も複雑になります。そのため、契約条項中に中途解約の場合の出来高の算定方法や金額を明示しておくことにより、請負人としては、中途解約の場合に出来高に応じた報酬請求を行うことが容易となります。
よって、中途解約された場合に出来高部分の報酬請求が可能となっているか否かが請負契約書見直しのポイントといえます。

2 請負人の担保責任の点

従来、請負契約では「瑕疵」という言葉が使われ、請負人は瑕疵担保責任を負うとされていました。
もっとも、民法の改正により「瑕疵担保責任」は、「契約不適合責任」と改められました。
よって、請負契約書の見直しのポイントとしては、まず「瑕疵」という言葉を「契約不適合責任」に改めているか確認する必要があります。
そして、契約不適合責任は、契約の内容に適合しているか否かを問題とします。つまり、「契約の内容」を解釈するために、契約書の前文や目的条項を充実させることが重要となってきます。
また、請負人側からすれば、契約の内容によって担保責任を追求されるか否かが異なることになります。そのため、いかなる事項が契約内容となるかを明確にする必要があります。
特に追加や変更の合意は書面で明確にする等、何が契約内容で、何が単なる契約に付随するサービスなのか、どの部分を契約内容から除外するのか明確にしておくことが望ましいといえます。

3 担保責任の期間制限(民法637条)

旧民法では、担保責任の期間制限が建物等5年、堅固建物10年と定められていました。
もっとも、民法の改正により、担保責任の期間制限は、注文者が不適合を知った時から1年以内となりました。
つまり、民法の改正により、注文者が知った時という注文者の認識が担保責任の起算点となることになります。
そのため、請負人としては、いつから1年かということが不明確になります。
そこで、請負契約書見直しのポイントとしては、この1年という期間を短くすることがまず考えられます。
また、いつが起算点となるかという点を明確にするためにも、目的物が完成した後に、注文者に検収義務を課し、契約不適合がないことを確認してもらうという方法も検討すべきです。

以上のほかにも民法改正によって請負契約書を見直すべきポイントはあります。
当事務所では請負契約書の見直しや契約書の内容が貴社の実情にマッチしているかなどのリーガルチェック、契約書の作成を行っております。
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