問題社員の類型

・指示した業務を遂行できない。
・頻繁に遅刻する。
・ネットに会社の悪口を書き込む。
・協調性がない。
・他の社員にセクハラ、パワハラを行う。
・飲酒運転、窃盗等の犯罪行為を行った。

 

このような問題のある社員についてのご相談は多数寄せられております。
問題行動は千差万別ですが、概ね以下のように分類できます。

① 能力不足型(ミス多発、指導しても改善がない、顧客からのクレーム多発等)
② ルール無視型(遅刻、さぼる、過度な喫煙休憩、備品の持ち帰り等)
③ 悪性格型(悪口の書き込み、他の社員とのトラブル多発、協調性欠如等)
④ ハラスメント型(セクハラ、パワハラ、マタハラ等)
⑤ 犯罪型(窃盗、横領、酒気帯び運転、傷害等)

 

問題社員の対応方法

問題社員の問題行動を放置することは他の社員の士気低下や会社の信用失墜につながります。
問題社員に対する対応は、解雇を最終手段として様々な方法を検討するべきです。

もっとも、問題社員に対する対応を誤った場合、会社が思わぬ損失を被ることがあります。
たとえば、問題社員に対して、社長が安易に「辞めてもらう」と言うのは禁物です。
後日になって不当な退職勧奨、不当解雇だと争われ、会社が敗訴した場合、裁判期間中の賃金を支払わなくてはならなくなるケースもあります。
裁判は、1年以上と長期化する場合も多々あり、1年続いた場合は1年分の賃金の支払いを余儀なくされるケースもあります。
その場合、会社が数百万円の損失を被ることになります。

 

事実確認の重要性

問題社員に対する対応は、まず事実の把握を確実に行うことが必要です。
その際、事実の証拠化も必要です。
もっとも、たとえ事実の確認や証拠化ができたとしても、適正妥当な処分でなければ後に覆されるリスクがあります。
たとえば、少し注意すれば防げるミスを多発し、顧客からのクレームが多発している社員を解雇したいと考えた場合、いかなるミスをしたのか事実確認し、ミスの内容や顧客からのクレーム内容を証拠化できたとしても、直ちに解雇という手段を用いることは危険です。
なぜなら、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(労働契約法16条)」とされており、能力不足があったとしても、会社が社員の指導、教育を徹底し、それでも改善の見込みがなかったこと等、解雇が相当といえる証拠が必要となるからです。
つまり、能力不足が証拠により認められたとしても、会社が解雇を行うには、指導、教育を徹底する必要があります。
指導、教育によっても改善の見込みがないという証拠が取れた後、解雇を行うか判断すべきことになります。
よって、能力不足の社員を解雇する場合、事実確認、事実の証拠化、始末書・指導書の提出等、段階を経た対応を取っていく必要があります。

 

問題社員を処分するうえで必要なルール作り

そして、問題社員を処分するためには、就業規則や社内規程の整備などルール作りをしておく必要があります。
就業規則の整備が出来ていなければ、そもそも処分することすら出来ないこともありえます。
また、常識で考えれば分かることでも明示的なルールや指示がない限り従う必要がないと考える社員も存在します。
たとえば、奇抜な髪形・服装、宗教への勧誘、備品の私的利用、社内での喫煙等です。
雇用した後に、社会人として当たり前のルールすら守れない者だったと判明することも多々あります。
その場合、社内の規律維持のためにも、社内規程等でルールを明確化し、ルール違反に対する処分を整備しておくべきです。

以上、問題社員に対する対応は、会社が考えている処分が適法に行えるか慎重に判断して行うべきです。また、そもそも会社が考えている処分の根拠となる就業規則や社内規程が存在するかも確認する必要があります。

問題行動を放置することは会社の不利益となります。
問題社員に対する対応や対策についてはお早目に当事務所にご相談ください。

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