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運送業における業務委託
運送業においてドライバーとの契約を雇用契約(労働契約)ではなく、業務委託契約としてドライバーに稼働していただくというケースがあります。たとえば、ドライバーとの間で業務委託契約を結び、ドライバーが所有する車両を用いて運送を行ってもらうという運用は、軽運送業などで多く見られます。
ドライバーとの間で雇用契約ではなく、業務委託契約が用いられているのは、会社が雇用する雇用契約よりも業務委託契約の方が人件費等の経費を抑えられるということが理由になっていると思われます。
労働者性と雇用契約
もっとも、いくら契約書の内容を業務委託契約としても、法的に雇用契約とされることがあります。つまり、契約書のタイトルや内容をいくら業務委託契約としても、ドライバーの稼働の実態によって雇用契約とされてしまうということです。
これは、法律上、「労働者性」の問題といわれるものです。契約内容や契約書のタイトルがいくら雇用契約以外のものであっても、実質的に「労働者」と判断される場合、雇用契約とされてしまいます。つまり、契約書のタイトル等の形式ではなく、稼働実態の実質を評価して雇用契約かどうかが判断されます。
仮に、雇用契約と判断される場合は、労働法上の労働者との扱いを受けますので、残業代の支払いや社会保険料の支払いなどの労働法上の制約を受けることになります。
労働者性の判断基準
この労働者性の判断は、勤務時間や勤務場所等をどの程度会社が指揮監督しているか、報酬が給与とは異なる体系となっているか、ドライバーに依頼を拒否する自由があるかなどを総合的に判断して決められます。
たとえば、ドライバーに依頼を拒否する自由がなく、勤務時間(拘束時間)や勤務回数を会社が実質的に管理しているケースなどでは「労働者」と判断される可能性が高くなります。
この場合で業務委託契約を維持するのであれば、ドライバーに依頼を拒否する自由を与えたり、勤務時間、勤務回数の拘束をやめるなどの対応をとる必要があります。
また、報酬が出来高制ではなく、日単位・時間単位などにしている場合も注意が必要です。業務委託契約であれば、業務の稼働数によって報酬が決められるのが一般的です。なので、労働の対価と評価されかねない報酬体系はなるべく採用しない方が無難です。できるだけ業務件数ごとに個別報酬を設定するほうが、雇用契約とみなされるリスクを減らすことができます。
業務委託契約書の作成は弁護士にご相談ください
当事務所では運送業における業務委託契約の作成を行っています。業務委託契約書の作成は、「労働者性」の問題をどうクリアするのかがまず大きな課題です。それ以外にも、ガソリン等の経費、保険の負担、交通事故が生じた場合の対応など、運送業特有の問題も業務委託契約書に盛り込む必要があります。また、いくら指揮監督が強化できないとしても、身だしなみ、言葉使い、時間を守ることなど、最低限の服務規律は必要となります。
当事務所は、このような運送業特有の問題にも対応実績があります。また、現在使用している業務委託契約書やドライバーの稼働の実態により雇用契約と判断される可能性などのリーガルチェックも可能です。
運送業における業務委託契約の問題はぜひ当事務所にご相談ください。