フランチャイズ契約においてトラブルになりやすい争点に、契約解除と更新拒絶に関する問題があります。
フランチャイズ契約はフランチャイジーとフランチャイザーの合意内容をもとに進められますが、契約の際に契約解除や更新についての項目まできちんと確認しないままに契約してしまうと、トラブルのもとになってしまいます。
本記事では、フランチャイズ契約における契約解除と更新について、企業法務分野において経験豊富な弁護士が解説いたします。
目次
1 フランチャイズ契約における解除と更新拒絶には制約がある
フランチャイズ契約は、フランチャイジーが投資した資本を一定期間かけて回収することが前提となっています。
フランチャイジーとしては、一定期間フランチャイズ契約が継続しなければ投下資本を回収できません。
そのため、フランチャイズ契約の解除は、フランチャイジーに多大な影響を及ぼします。
契約の更新拒絶も同じです。
そのため、解除や更新拒絶には一定程度の制約があります。
2 フランチャイズ契約の解除
多くのフランチャイズ契約書には「本契約条項に反した場合」に解除事由となることが規定されています。
そうだとすれば、たとえばロイヤリティーの支払いを一度でも遅延した場合に直ちに解除されることになるのでしょうか。
たしかに、ロイヤリティーの遅延は契約条項に反するといえます。
ただ、フランチャイズ契約の解除はフランチャイジーに多大な影響を与えます。
特にフランチャイズ契約は、フランチャイジーが多額の投資をしていることが多いので、軽微な違反で解除とするとフランチャイジーに大きな損害を与えてしまいます。
そこで、解除に一定程度の制約を加えるというのが裁判例の考え方です。
裁判例では、契約の継続ができないほど信頼関係が破壊されていると評価できる場合に解除を認めるとするのが一般的です。
たとえば、ロイヤリティーの未払いが1ヶ月程度であれば解除が認められないことが多いでしょう。
これに対し、数ヶ月のロイヤリティー未払いがある場合や再三にわたって催促しているのに未払いなどの信頼関係棄損が認められる場合は解除が認められる傾向にあります。
以上、軽微な契約条項の違反では解除が認められない場合があります。
3 フランチャイズ契約の更新拒絶
フランチャイズ契約では、契約期間が定められておりますが、契約期間の満了後の契約の更新についても定められていることが多いです。
特に、一定期間以内に契約の更新をしないことを通知しない限り、同一条件で契約が更新される等の自動更新が定められていることも多いです。
では、契約の更新をしないという更新の拒絶がフランチャイザーからなされた場合、フランチャイジーは更新拒絶に応じなくてはならないのでしょうか。
たしかに、契約の文言上、一定期間内に更新拒絶をした場合、更新を拒絶できると定められている以上、かかる契約が有効と解する余地はあります。
もっとも、フランチャイズ契約は、多額な資産が投入され、フランチャイジーとしても一定期間フランチャイズ契約を継続して投下資本を回収していくという期待を有しています。
そのため、裁判例では、契約の更新を行うことが原則とされ、契約を継続しがたい事由が存在する場合に契約の更新拒絶が可能とされるケースが多いです。
つまり、フランチャイザーとしては、契約が更新していくことが原則と考えて契約を締結するべきです。
なお、フランチャイザー側の意向に従わない場合に契約を更新しないなどとすると、優越的地位の濫用として独禁法違反の問題も生じる可能性があります。
逆に、フランチャイジーとしては、契約の更新が一定程度保護されますが、契約を継続しがたい事由がある場合には契約の更新がされない可能性があるということを前提に行動すべきです。
4 フランチャイザーの対策
以上、契約の解除、更新拒絶は、フランチャイザー側に一定程度の制約があると考えておくべきです。
フランチャイザー側としては、問題のあるフランチャイジーについて、解除すればよい、更新を拒絶すればよいと安易に考えるべきではありません。
たとえば、不採算店など、解除したい場合に解除できないというリスクがフランチャイザー側にあります。
そこで、売上が一定以下の場合に指導に入ること、最低売上を上げることが契約条件になっていることなど、契約書にフランチャイジー側の義務を規定することも検討すべきです。
5 当事務所の取り組み
当事務所ではフランチャイズ契約の解除、契約の更新拒絶に対するご相談をお受けしております。
フランチャイズ契約における解除や更新拒絶の問題でお困りの場合は当事務所にご相談ください。