「従業員から労基署に通報すると言われた」
「突然、労働基準監督官がやってきた」
このような事態に直面した場合、まずは冷静に現状と事実関係を把握することが不可欠です。
労基署の調査は、適切な労務管理への「改善の機会」でもあります。
本記事では、労基署に通報された後の流れと、企業が取るべき適切な対応について弁護士が解説します。
目次
(1) 労働基準監督署に通報されやすい代表的なケース
労基署への通報(申告)は、主に以下のようなケースで発生します。
• 残業代の未払い:計算ミスや「固定残業代」の運用不備による不足分など。
• 長時間労働:36協定の限度時間を超える労働や、休憩時間の未付与。
• 解雇・雇い止め:解雇理由の正当性や手続き(30日前の予告、解雇予告手当の問題など)の欠如。
• 就業規則の不備:規則が周知されていない、あるいは法改正に対応していない。
(2) 労働基準監督署に通報された後の具体的な流れ
通報を受けると、労基署は主に以下のステップで調査を進めます。
1. 臨検(立ち入り調査):監督官が予告なく、または事前連絡の上で事業所を訪問します。
2. 書類点検とヒアリング:賃金台帳、タイムカード、就業規則などの確認と、担当者への聞き取りが行われます。
3. 是正勧告・指導:法律違反が見つかると「是正勧告書」が、改善の余地がある場合は「指導票」が交付されます。
4. 是正報告書の提出:企業は指摘事項を改善し、その内容を書面で報告します。
(3) 労働基準監督署に通報された企業がとるべき対応
調査が入った際に企業が優先すべきは、「行政への協力姿勢」です。
• 資料の正確な提示:タイムカードの改ざんや虚偽の回答は厳禁です。かえって「悪質」と判断され、厳しい処分につながります。
• 事実関係の早期把握:指摘された問題がなぜ起きたのか(管理体制のミスなのか、個別のトラブルなのか)を即座に調査します。
• 是正勧告への迅速な対応:是正勧告に法的な強制力はありませんが、これを無視し続けると、書類送検などの刑事手続きに移行するリスクもあります。
(4) 労働基準監督署への通報を未然に防ぐために企業がとるべき対策
通報を未然に防ぐことは、企業の社会的信用を守ることにも繋がります。
• 勤怠管理の透明化:客観的な記録(ICカードやPCログ等)に基づき、正確に労働時間を把握する体制を整えます。
• 社内相談窓口の機能化:不満を外部(労基署)に持ち出す前に、社内で解決できる仕組み(ハラスメント相談窓口など)を作ります。
• 定期的な労務監査:法改正に合わせて就業規則や契約書をアップデートし、現在の運用が適法かチェックします。
(5) 早めに専門家に相談を
労基署の問題は、初動の対応一つでその後のリスクが大きく変わります。
① 労働基準監督署に通報された場合の企業への罰則
重大な違反や勧告の無視を続けると罰則が科される可能性があります。
また、厚生労働省のホームページ等で企業名が公表されることもありえます。
② 弁護士に相談するメリット
当事務所では、経営者の皆様のパートナーとして以下のサポートを行っています。
• 調査・立ち会いへのアドバイス:監督官への適切な回答方法や、提出書類の準備を法的にバックアップします。
• 是正報告書の作成支援:実態に即した改善案を策定し、労基署に対して「改善の意思」を明確に示します。
• 従業員との交渉・和解:通報の元となった紛争を早期に解決し、再発防止に向けた社内規定の整備をサポートします。
労務トラブルは放置せず、専門家である弁護士に早期にご相談ください。健全な経営体制の構築を全力で支援いたします。
関連記事はこちら
- ローパフォーマー社員とは?企業が取るべき対応と注意点
- 試用期間に従業員を解雇するための方法は?弁護士が解説
- 会社の指示に従わない社員についての対応
- 試用期間のその他の論点
- 従業員の引き抜きの防止
- 退職後の競業禁止について
- コロナ禍における解雇
- 安全配慮義務 ~長時間労働とハラスメントについて~
- 休職・復職を繰り返す社員への対応
- 退職代行業者に対する対応
- 試用期間中の本採用の見送りについて弁護士が解説
- 内定の取消しの法的問題
- 整理解雇の留意点
- 労働審判
- 残業代の問題
- 類型別問題社員の対応
- 退職勧奨
- 問題社員とは?類型別の特徴や対応方法について弁護士が解説
- パワハラ防止法に備え企業が取るべき対応策