問題を起こす従業員に辞めてもらいたい
人員を削減したい
勤務態度の悪い従業員に辞めてもらいたい

このような場合、会社としては、従業員に対して任意に退職してもらうことを考えることになります。
労働者に任意に退職を促すことを退職勧奨と言います。
つまり、会社から従業員に対して「退職」を勧めることを退職勧奨といいます。
退職を任意に勧めるものですので、従業員にいわゆる解雇事由がない場合でも退職勧奨は可能です。
なお、労働者が退職に応じてもらうために、退職勧奨に応じた場合、割増退職金等、労働者に有利な条件をつけることも可能です。

退職勧奨は、労働者に任意な退職を促すものですから、本来、会社側が労働者に対して自由に行うことができるものです。
上記のとおり、従業員に解雇事由がなくとも可能です。
そのため、従業員に退職してもらうことを考える場合、まず退職勧奨を検討すべきことになります。

もっとも、退職勧奨も任意での退職を促すものですので、任意に促すレベルを超えた強制的、過剰、不相当なもの等は、違法な退職勧奨となるおそれがあります。
違法な退職勧奨を行ってしまった場合は、労働者から損害賠償の請求を受けるおそれがあります。
また、違法な退職勧奨により退職させられたとして、後に退職の無効を主張される場合もあります。
そのため、退職勧奨を行う場合は、違法なものとならないように慎重に行うべきです。

違法な退職勧奨となるのは、強制したと評価される場合や過剰・不当に行ったと評価される場合などです。
つまり、退職の意思のない従業員に対し、強制的(半強制を含む。)に行ったと評価される場合や執拗に過剰に行った場合などは違法となりえます。
そのため、強制、過剰、不当と評価される方法・言動は避けなくてはなりません。

退職勧奨を行う場合は以下の点に留意すべきです。
① 就業時間外、社外での面談を避ける(終わるまで帰れない等、強制と評価されることを避ける。勤務時間内に会社で行うべき。)
② 面談時間、回数、会社側の人数を極力少なくする(強制と評価されないためにも、多くとも週2程度、1時間まで、会社側の人数は2名程度にするべき。)
③ 同期の従業員や近親者からの説得は行わない(応じるまで他人に迷惑がかかると思った等と言われないためにも直接従業員本人に行うべき。)
④ 特に解雇事由がない場合に解雇を連想させる言葉を使わない(あくまでも任意の退職を促すものなので、退職に応じなければ解雇する、うんというまで会社に来なくていい、応じるまで自宅待機にする等の言動は絶対に避ける。)
⑤ 人格を傷つける言動をしない(給料泥棒、役立たず等の言動は当然として、社員失格、社会人失格等の感情を不当に侵害する言動を避ける。)
⑥ 強要、誤導する発言は避ける(退職するまで面談を続ける、退職勧奨を行って退職しなかったのは今まであなただけ等、強要、誤導と評価される言動は避ける。)

なお、一旦退職勧奨に応じなかった従業員に対して、退職に応じた場合に割増退職金等、従業員にメリットがあることや在籍を続けることのデメリットを再び説明するということは可能です。
もっとも、従業員がメリット、デメリットを十分に理解したうえで、それでも退職しないとの意思を示した場合はそれ以上の退職勧奨をやめるべきです。
明確に拒否した場合は、それ以上の退職勧奨を続けると違法と評価されやすくなるからです。

以上、退職勧奨が違法と評価されるかはケースバイケースですが、強制、過剰、不当と評価されうる退職勧奨は、後のトラブル防止のためにも行うべきではありません。
また、退職勧奨を行い、従業員が退職に応じる場合は、退職条件、合意内容を明確にした退職合意書を作成するべきです。

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