会社の業務上の指示に従わない社員は、多くの会社にいらっしゃると思います。
業務上、明確に指示を出しているが、それに応じない方もいれば、ルールとまでは言えないが、全社員が周知していることに反する行動を取る社員もいます。
また、一人だけ反する行動を取れば、他の社員に不公平感を生むといった程度の違反もあれば、会社に重大な悪影響を及ぼす違反もあると思われます。
このような会社の指示に従わない社員の対応について解説したいと思います。
目次
明文化されたルールがある場合(細則/ガイドライン/マニュアル等)
明文化されたルールに反する行動を取る社員がいる場合は、まずルールに反する行動を取っていることを証拠化するべきです。
いつのどのような行為が問題になっているか、特定したうえで記録して証拠化しておくべきです。
証拠に基づいて、明文化されたルールのどの条項に反しているか社員に説明して改善を求めるべきです。
仮に、複数回指導しても改善が見られない場合は、懲戒処分を検討すべきです。
ただし、懲戒処分は、就業規則の規程に基づいて行うべきです。
つまり、ガイドラインやマニュアルに反するだけでは懲戒処分を行ってはなりません。
ガイドラインやマニュアルのどの部分に反することで、就業規則の懲戒処分のどの条項に該当するのかを検討すべきです。
あくまでも懲戒処分は就業規則に基づいてすべきものです。
ですので、明文化されたルールが存在する場合は、ルールに反することが就業規則上のどの懲戒条項に反するといえるかまで確認しておくと良いです。
明文化されたもののない暗黙的なルールの場合
まず、暗黙的なルールが社内でどれくらい周知されたものであるかの検討が必要です。
全社員のうちどの程度の社員がルールとして認識しているか、どのくらいの期間そのルールが守られてきたかなど、ルールとしての強さをまず確認するべきです。
確認の方法としては、ルール違反をする社員以外の他の社員にアンケートを実施するなどです。
また、全社員にルールとして守って欲しいと業務指示を出した場合はルールとしてある程度通用すると考えて良いと思われます。
たとえば、テレワークを行う際に遵守して欲しい事項や営業のアフターフォローに関するルールなどを口頭で指示した場合です。
そして、暗黙的なルールであったとしても、ルールに反する事実を証拠化し、就業規則上の懲戒事由に該当する場合は懲戒処分を行うことも可能です。
もっとも、ルール違反が続くケースもあると思われますので、暗黙的なルールに反する社員がおり、そのルールに従って欲しい場合は、ルールを明文化するべきです。
たとえば、テレワークに関する遵守事項は、テレワークに関する勤務規則を作成すべきですし、SNSの使用で遵守して欲しいことなどはガイドラインを作成するべきです。
ルール違反に対する対応
ルール違反によって会社に与える影響が大きい場合は、ルール違反を是正する措置を検討する必要があります。
是正する措置として検討すべきは懲戒処分です。
ただし、懲戒処分は、就業規則上の懲戒事由に該当する場合に可能なものです。
そのため、必ず就業規則を確認してルール違反がどの懲戒事由に当たるか検討すべきです。
なお、ルール違反があったとしても、懲戒事由に該当しない可能性がある場合は、まずルール違反を是正するように業務命令を出しておき、その業務命令に従わないことをもって懲戒処分を行うことも可能です。
多くの場合、業務命令に従わないことは就業規則上の懲戒事由になっていると思われます。
そのため、業務命令を出し、それでも従わない場合に懲戒処分ということも検討すべきです。
また、いきなりの重い懲戒処分は、場合によって違法とされることがあります。
そのため、当初は、譴責や始末書の提出などの軽い処分によることが無難です。
ルール違反を繰り返す場合に軽い懲戒処分を行い、それでも繰り返す場合に重い懲戒処分を課すのが無難です。
当事務所は、指示に従わない社員の対応について取り扱っております。
指示に従わない社員への懲戒処分等の対応やルールに従ってもらえるような規定の整備などのルール整備も行っております。
指示に従わない問題社員の対応は当事務所にご相談ください。